知能を伸ばす「家庭環境」
千葉 晃 |
ギルフォード教育研究所本部所長 |
知能教育国際学会日本中央本部長 |
ギルフォードSI教育本部長 |
頭のよい子の母親や知能を上手に育てる母親ほど、“家庭環境を整理してやる事に、努力されている人である”といわれます。それでは、どんな家庭環境が子どもの知能を伸ばすのでしょうか。
知能教育にとって望ましい家庭の配慮について、まず考えてみましょう。まとめてみますと、次の点が大切な条件になります。
- 子どもに好きなことを熱中させる=子どもの知能というのは、好きなことに取り組む中で、困ったり、ためしたり、失敗したりしながら、自分自身の頭で考えていく過程を通して、伸びていくものです。好きなことに熱中することは、それだけ頭を使っていることですから、できるだけ好きなことをさせていく雰囲気を作り出すことが、まず大切な条件です。
- 夫婦仲を良くしていく=これは当然のようですが、なかなか難しい場合もあります。両親の役割や分担が決まっていると同時に、お互いに協力し、父母の間のバランスが保たれていることは、子どもに大変良い影響を与えます。
とにかく、親の生活態度が、そのまま子どもの手本となるのです。ですからまず、両親が仲の良い状態を作り出すことが、家庭環境の基本条件なのです。
- 家族の心のふれ合いを大切にする=知能がほんとうに伸びるということは、幼児であればあるほど、頭の使い方の問題だけですむものではありません。感動や情緒や感情などという、子どもが日ごろいだく気分というものにもたいへん大きく左右されます。知能には、実にこれらの要素と深い関りがあるのです。ですから、日常生活での心からの感動や感激を大切にしなければなりません。一頃よくいわれました“シラケ”のムードは、まったく逆の悪い心の状態です。とくに大人の“シラケ”たようすが、子どもに伝染してしまいます。少なくとも、家庭にあっては、“シラケ”の雰囲気を排除し、心の通う場面や対話を大切にしたいものです。
休日ごとにどこかに出かけて家庭サービスすることだけで、良い家庭環境が作れるものではありません。家庭サービスもままならない、忙しくしている両親であっても、ほんのわずかな時間でも、子どもとの接触のしかたを大切にする家庭こそ、よい環境を作り出すのです。
とにかく子どもを認め、夫婦仲良く、心のふれ合う家庭であれば良いのです。
以上、全文「エスアイつうしん 5月号 おうちの方へ」より転載。
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